自分の一番の得意技を、AIに教えようとしたことはありますか。僕は先週までに3回やって、3回とも断られました。
前回、損切りラインは何%が正解かをAIと全部試して、7%から10%台のどこにも有効な線が無かった話を書きました。(損切りラインは何%が正解か、AIと全部試した)
今回はその続きです。
%がダメなら、裁量でやっていた頃の自分の切り方なら…そう思って移植を試みて、2026年7月19日、最後の道が塞がりました。
結論から言うと、僕の損切りはAIに渡せませんでした。そしてその理由が、ちょっと面白かったんです。
%ではなく、自分の型で切っていた
僕の裁量時代の損切りは、何%下がったら売る、という形ではありませんでした。裁量でやっていた頃に目で覚えた、自分なりの切り方がありました。一律の%と損切りラインを最初から決めてやっていませんでした。
一律の%がダメでも、自分のやり方ならどうだ。そう考えて、この切り方をルール化してAIの運用システムに載せ、過去10年ぶんのデータで検証を回しました。通算257本目の検証です。
成績が、ぴくりとも動かなかった
自分の癖を、できるだけ忠実に、AIが読める形へ翻訳していったつもりでした。
ルールとしては、ちゃんと書けています。単体で試すと、意図したとおりに反応しました。
それなのに、成績がぴくりとも動きませんでした。
最初はバグを疑いました。でも何度見直しても、書いたとおりに動いています。おかしい。

僕のやめ時の合図に、出番が来なかった
AIが一つの銘柄を保有する時間は、僕が裁量でやっていた頃よりずっと短かったんです。
そもそも、AIが選んでくる銘柄は、僕の売り条件から遠いところにいました。僕の売りの条件に近づくこと自体が、あまりない。そのうえ、ようやく近づいてきた場面では、AIはもうその銘柄を手放し新規の銘柄に入れ替えていました。
僕のやめ時の合図は、出番が来る前に役目を終えていたわけです。
これ、料理でたとえると分かりやすいかもしれません。
僕のやり方は、鍋でコトコト煮込む料理でした。
ずっと鍋の前にいるので、これ以上いくと焦げるな、という自分なりのやめ時がある。
長く火にかけるからこそ、その合図が役に立ちます。
でもAIがやっているのは、強火で一気に炒める料理でした。数分で皿に移してしまう。
そもそも焦げる手前のところまで行かないんです。
僕の合図は、いつまで経っても出番が来ない。ルール自体はどちらも間違っていません。
ただ、火にかけている時間がまるで違いました。
3本の道が、全部塞がった
これで、僕の損切りをAIに移植する道は現状思いつくものは全部試したことになります。

一律の%で切る道は、有効な線がどこにも無かった(前回の記事です)。
守りのルールを丸ごと別のシステムに移植する道は、買い方の設計と喧嘩して逆効果になった。
そして今回、自分の型で切る道は、出番が来る前にAIが降りてた。
3回断られて、ようやく腹落ちしたことがあります。
損切りって、それだけ取り出して持ち運べるツールじゃないんです。
どう買って、どのくらい寝かせるのか。
その作り方とセットで、初めて意味を持つ。
レシピの一行だけ抜き出して別の料理に貼っても、たいてい使いどころがありません。
だから、移植をやめました
じゃあ自分のやってきたことは無駄だったのかというと、逆の結論になりました。
AIに渡せないということは、そこがAIで置き換えられない部分だということです。
以前、自分のトレードをAIに解剖させたとき、最後の絞り込みと降り際だけはAIが写せなかったという話を書きました(自分の10年のトレードをAIに解剖させたら、機械が最後まで写せないものが分かった話)。今回の検証は、その裏取りになった形です。
なので今の僕の運用は、移植ではなく役割分担にしています。
土台の売買はAIが回す。僕は基本さわらない。
ただ、これは危ないと感じたときに止める拒否権だけ、僕が持つ。
教え込むのは諦めて、隣に座ることにしました。
念のため書いておくと、これは損切りが要らないという話ではありません。
僕のシステムには別の守りの仕組みが最初から入っていて、僕の損切りルールで守るはずだった場面を、AIが先回りして処理していた。
だから出番が無かった、という順番です。
守りが要らない運用は無いと思います。
正直、自分の得意技が断られ続けるのは、ちょっと寂しかったです。でも断られた理由が全部数字で説明できたので、納得はしています。
AIと僕の勝負は、本物のお金で検証しています。経過はレース観戦席にまとめています。
ルールの正しさは中身だけでは決まらなくて、どんな作り方の中で使うかで決まる。今回持ち帰ったのは、それでした。
※本記事は自作システムの検証記録であり、投資助言ではありません。特定の銘柄・売買手法を推奨するものではなく、投資は自己責任でお願いします。

