強いものを集めれば、もっと強くなる。普通はそう考えますよね。エースを集めたチームは優勝候補ですし、いい食材を集めた料理はおいしくなります。
投資でも同じことを考えました。単独で成績のいい戦略を見つけたら、いま使っている運用に混ぜれば、もっと良くなるはずだと。
先に結論を言います。良くなるどころか、ほぼ全部弱くなりました。しかも17通り試して、良くなった組み合わせはゼロです。
今回は、AIと一緒に自分の投資を検証していて一番意外だった、この話を書きます。分散投資という言葉の意味が、僕の中でこの日ガラッと変わりました。
単独では合格だった2つの部品
僕は自分の投資ルールを、AIと一緒に過去のデータで検証し続けています。思いついたアイデアに通し番号をつけて記録していて、この日で211本目でした。ダメだったアイデアも消さずに全部残す方式です(この検証の仕組み自体は別の記事に書きました)。
その積み重ねの中で、珍しく合格ラインを超えるアイデアが2つ出てきたんです。ここでは部品Aと部品Bと呼びます。中身は伏せますが、どちらも単独の検証では、偶然とは言いにくい水準の成績を出しました。
211本やって、生き残りはほんのひと握り。だから正直、うれしかったです。単純に数字を追い求めるのが好きなんです笑
そして当然、次はこう考えました。この2つを、いま実際に運用している土台に足せば、もっと強くなるんじゃないかと。
混ぜても並べても、全部ダメだった
2026年7月10日、AIに総当たりで検証させました。やり方は2種類です。
ひとつは混ぜる方法。土台の銘柄選びのルールに、部品Aや部品Bの判断を組み込むやり方で、6通り試しました。もうひとつは並べる方法。ルールはお互い触らせず、資金を分けてとなりで走らせるやり方で、11通り試しました。

結果は全滅です。物差しにしたのはシャープレシオ(取ったリスクのわりに、どれだけ成績が出たかを表す数字。高いほど効率がいい)。17通りのどれも、いまの土台の効率を上回れませんでした。ひどいものは明確に下がり、ましなものでも変わらずです。

単独では合格した部品なのに、です。ここが本当に不思議でした。
犯人は、動きが似ていたこと
AIに敗因を分解させて、やっと腹落ちしました。犯人は部品の弱さではなく、相関でした。相関とは、2つのものがどれくらい同じ向きに動くかという度合いです。
部品Aも部品Bも、単独の成績は悪くありませんでした。ただ、土台との相関が0.7あったんです。つまり、土台が上がる日はだいたい一緒に上がり、下がる日は一緒に下がる。動きが7割がた同じでした。
動きが同じ仲間を足しても、リスクは減りません。それなのに成績の効率は、強い土台に弱めの部品を混ぜたぶんだけ薄まります。強い麦茶に、薄い麦茶を注ぐようなものでした。量は増えますが、濃くはなりません。
持ち物にたとえると、傘とサングラスなら両方持つ意味があります。活躍する天気が違うからです。でも傘を2本持っても、雨の日に2本さすことはできません。僕がやっていたのは、いい傘を見つけるたびに傘立てに足すことでした。
分散投資の正体は、強さではなく違い
この検証でひとつだけ、逆側の発見もありました。過去にひとつだけ、土台に足して意味があった部品があったんです。それは成績が特別よかったからではなく、株とは別の資産で、動きが全然違ったからでした。
つまりこういうことだと思います。
- 組み合わせの価値は、部品の強さでは決まらない
- 決めるのは、動きの違い(相関の低さ)
- 動きが似た強い部品より、動きが違うそこそこの部品
分散投資はよく、卵をひとつのカゴに盛るなと説明されます。僕はいいカゴをたくさん集めようとして、ドツボにハマっていたんです。どれだけいいカゴを集めても同じ棚に載っていたのでは、棚ごと倒れたら全部割れます。
ちなみにこの日の検証で、僕の思いつき2つはお蔵入りになりました。211本の積み重ねの先でやっと出会えた合格品を自分の手で葬るのは、ちょっと切なかったです。でも、良くならないと分かった組み合わせを17通り消せたのは前進だと思っています。良い数字が出たら喜ぶ前に疑う。これを根性でなく検証の仕組みでやる話は、毎朝のシステムの話や自動化を捨てた話と地続きです。
強い部品を探す旅は、これからも続けます。ただ探すものが変わりました。強いやつではなく、違う動きをするやつ。この目線になってから、検証で見る数字の順番も変わった気がします。
この記事は僕自身の検証記録と考えの共有であり、投資助言ではありません。過去データの検証結果は将来の成果を約束しません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。


