過去に何倍にもなった銘柄の共通点をAIに調べさせて、その共通点を条件にして、今の銘柄を絞り込む。
この形のプロンプトを、僕も試しました。
出てきた候補が本物かどうかは、そのままでは確かめようがありません。
なので、同じ条件を過去に当てはめて、その後1年でどうなったかを数えました。
結果を先に書くと、この条件で絞った銘柄は市場全体に勝ちました。
たまたまではなさそう、というところまで出ました。
そこで終わっていたら、たぶん僕はこれを信じていたと思います。
やったこと
参考までに、僕が使ったプロンプトを要約すると、こんな形です。
あなたは日本株のアナリストです。
過去に株価が大きく上がった銘柄を研究して、次の候補を探してください。STEP1
過去に株価が何倍にもなった日本株をWeb検索で集めて、上がる前の時点で共通していた特徴を挙げてください。STEP2
その特徴を、銘柄を絞り込むための条件に作り変えてください。
決算の数字で判断できる条件と、数字にならない条件(テーマ性、創業者が経営しているか、など)に分けてください。STEP3
その条件に当てはまる銘柄を今の市場から探して、上位5銘柄をランキングにしてください。
それぞれ、根拠になる数字と一緒に説明してください。
細かい言い回しは違いますが、やらせていることはこの3段です。
よく見かける形だと思います。
実際に、今の候補が5銘柄、理由つきで出てきました。
きれいにまとまっていて、そのまま信じたくなる出来でした。
AIが挙げてきた条件には、2種類ありました。
決算の数字を見れば誰でも同じ答えになるものと、人によって答えが変わるものです。
使ったのは前者だけで、この5つです。
- 小さめの会社
- 売上が伸びている
- 黒字
- 利益に対して、株価が高くなりすぎていない
- ある程度は売買されている
逆に、国策のテーマに乗っているか、といった条件は落としました。
理由は、後から見ればどの会社にも当てはめられてしまうからです。
上がった会社を見れば、あれはAIのテーマだった、と言えます。
上がらなかった会社は、あれはテーマじゃなかった、と言えます。
どちらにも説明がついてしまう条件は、結果を見てから当てはめているだけになります。
当てはめるのは、毎年6月末です。
日本の会社は3月で1年を締めるところが多く、その決算の数字が出そろうのが6月ごろだからです。
そこで条件に通った銘柄が、その後1年で3倍になったかを数えます。
ひとつはっきりさせておきます。
3倍になった会社を見て共通点を探すのと、その共通点で買ったら3倍になるのかは、別の話です。
なので今回は、先に条件で絞ってから、その後の1年を数えました。
使ったデータには、途中でなくなった会社も残してあります。
全部の年の集計では、条件は勝っていた
まず、全部の年をまとめた集計結果です。

- 条件で絞って3倍になった銘柄:176銘柄中5銘柄(2.84%)
- 絞らなかった場合:1.20%(日本の上場企業はおよそ4,000社で、そのうち3倍になった割合)
2倍以上の差がついています。
とはいえ、たまたまそうなっただけかもしれません。
そこで、条件を一切使わずに、市場にいた銘柄から176銘柄をくじ引きで選ぶ、というのをやってみました。
条件で絞ったときと、同じ本数です。
選んだ176銘柄のうち、何銘柄が3倍になったかを数えます。
これを1万回くり返して、条件で選んだときの5銘柄に届いた回数を数えました。
1万回のうち、届いたのは438回だけです。
くじ引きで同じ成績が出ることは、めったにない、ということになります。
ここまでだけを見せられたら、使える条件に見えます。
年ごとに割ると、勝ちは2年に集まっていた
同じ結果を、年ごとに並べ直します。

| 条件をかけた年 | 通った銘柄数 | 3倍になった数 | 市場全体で3倍になった割合 |
|---|---|---|---|
| 2018 | 21 | 0 | 0.26% |
| 2019 | 15 | 0 | 1.09% |
| 2020 | 17 | 0 | 1.53% |
| 2021 | 9 | 0 | 0.43% |
| 2022 | 45 | 3 | 0.91% |
| 2023 | 32 | 2 | 0.85% |
| 2024 | 16 | 0 | 0.57% |
| 2025 | 21 | 0 | 3.07% |
3倍が出たのは、2022年と2023年だけでした。
8年のうち、6年はゼロです。
当たった2年は、通った銘柄のうち3倍になったものが6%台。
市場全体の1%弱と比べると、たしかに際立っています。
そして、いちばん新しい2025年です。
市場全体では3.07%と、この期間でいちばん多く3倍が出た年でした。
その年に、条件に通った21銘柄からは1つも出ていません。
当たった2年を外すと、ゼロになる
ここで、割り方をひとつ変えました。
当たった2022年と2023年を外して、残りの6年だけでもう一度数えます。
条件の数字は1つも触っていません。
- 条件で絞って3倍になった銘柄:99銘柄中0銘柄(0.00%)
- 絞らなかった場合:1.29%(この6年だけで数えた、市場全体の割合)
1銘柄も出ませんでした。
同じ6年で、市場全体では1.29%が3倍になっています。
条件で選んだほうが、下回りました。
つまり、最初に見えた勝ちは、条件そのものの力ではありませんでした。
3倍が出た2年に、たまたま当たっていただけです。
なぜその2年だったのかは、この検証では分かりません。
分かるのは、その2年を引いたら何も残らなかった、ということだけです。
そして困るのはここからで、来年がどちらの年になるのかは、事前には分かりません。
全部の年の集計結果を見ているかぎり、当たる年に乗れただけなのか、条件が効いているのかも区別がつきません。
この数字の、弱いところ
3倍に届いたのは、全部の年を通して5銘柄しかありません。
1つ増えただけで結論の見え方が変わる数です。
3倍になったかどうかは、月末の値段で測っています。
月の途中でつけた高い値段は数えていないので、実際より控えめに出ます。
これは条件の側にも市場の側にも同じようにかかります。
それと、AIが挙げた条件のうち、誰が判定しても同じ答えになるものだけを使っています。
テーマ性のような条件を足した版は、僕は検証していないので分かりません。
プロンプトが悪いわけではない
誤解のないように書いておくと、これはAIが役に立たないという話ではありません。
過去の急騰株を調べて条件の形にするところは、AIにやらせると速いです。
足りなかったのは、過去に当てはめて年ごとに割る工程です。
僕が持ち込んだプロンプトも、共通点を集めて条件を作り、今の候補を並べるところまでの組み立てでした。
当たった年と外れた年を数える手順が入っていないので、そもそも気づけません。
条件を作るのと、その条件が本当に使えるのかを確かめるのは、別の作業でした。
集計結果は、当たった年を隠す
条件が効いたのか、当たる年に乗っただけなのか。
集計結果だけ見ていても、どちらなのかは分かりません。
年ごとに割っていなければ、僕はこの条件を使っていました。
次に何かの条件を見たら、まず年ごとに割ってみます。
AIと検証を回して、うまくいかなかった記録は他にもたまっています。
勝ち方はほとんど見つからず、負け方が10種類たまった。AIと277回検証した記録にまとめました。
当たり前だと思っていたことに数字をつける話は、分散が効かない日は、相場が荒れている日ではありませんでしたにも書いています。
この記事を書いている僕が、実際にAIに任せて運用している結果は「運用日記(本物のお金の記録)」でそのまま公開しています。口を出した日も、負けた月も、全部そのままです。
※この記事では、条件に通った具体的な銘柄名は書いていません。
数字は公開されている株価と決算データを僕が集計した結果で、データそのものを配ることはしていません。
また、この記事は僕自身の検証の記録であり、投資助言ではありません。
最終的な判断はご自身の責任でお願いします。


