AIで投資ツールを自作した、という話がSNSに増えました。2026年の相場も日経平均が7万円台、ダウは最高値圏。市場が賑やかなほど、自分だけの道具を持ちたくなる気持ちはよく分かります。僕もその一人で、毎朝AIと一緒に相場を点検する自作のシステムを持っています。
で、今日は正直な告白をします。そのシステム、いまは売買に使っていません。それでも毎朝、止めずに動かしています。矛盾してるように聞こえますよね。今日はその理由の話です。
先に結論。失敗作になったのではなく、仕事が変わった
結論から言うと、システム自体は失敗作になったわけではありません。担当する仕事が変わりました。作った当初の仕事は、毎朝の相場を点数にして僕の売買を守ること。いまの仕事は、相場を毎日記録する定点観測です。
経緯はこうです。毎朝のシステムを作ったあと、僕は自分の投資手法そのものをAIに徹底的に検証させました。過去のデータで何十通りも試して、生き残った型をツール化して、今年の6月29日、そちらに本物のお金を入れました。実際の売買はそのツールの担当になった。つまり毎朝のシステムは、売買の現場からは引退したわけです。
このとき、AIにこう相談しました。実弾はもう別のシステムでやってるから、こっちは今となっては使ってないからなぁ。なんかいい代替案ある?と。我ながら身も蓋もない文章です(笑)でもこの正直な一言が、答えにつながりました。
売買に使わない観測に、何の意味があるのか
天気予報で考えると分かりやすいです。天気予報を見て株を買う人はいません。でも、傘を持つかどうかは毎朝の予報で決めますよね。予報の仕事は、行動を直接決めることではなく、今日がどういう日かを知らせることです。
僕の毎朝のシステムも同じ役割になりました。相場が今どれくらい危ないかをVIX(市場の荒れ具合を表す指標。恐怖指数とも呼ばれます)など様々な指標を使って0から100の点数にしたもの(僕は危険度と呼んでいます)を毎朝記録する。2026年6月5日から7月頭までで19回分のログが溜まりました。この1ヶ月だけでも、点数が0まで凪いだ日もあれば、10日ほどで44まで跳ねた日もあります。売買はしなくても、相場の顔色がどう変わったかの記録は毎日積み上がっていく。
前に自分用のメモにこう書いたことがあります。何も動かない日の記録が一番地味で、一番大事かもしれない、と。売買が絡まなくなった今のほうが、むしろこの言葉どおりの使い方ができています。予想を当てるためでなく、今どこにいるかを知るための道具。未来を当てにいくのをやめてから、投資はだいぶ楽になりました。
作った道具が役割を変えるのは、二度目だった
振り返ると、僕にとってこれは初めてではありません。昔、株価をExcelに流し込んで自分の基準で銘柄を探すスクリーナーを自作したことがあります。それも今は使っていません。ただ、当時やっていたスクリーニング方法やその他いくつかの作業は、上に書いた通りAIに全て伝えてツール化しました。当時の考え方は形こそ変わりましたが今も生きています。
道具は目的が変われば休ませていい。そして役割を変えて復帰することもある。作ったものを全部現役で使い続けなければいけない、というルールはどこにもありません。
使わなくなった道具と、役割を変えた道具は別物
もし僕が、使ってないことを隠して、いかにも毎朝のシステムで売買してますという顔でブログを書き続けたら、どこかで話の辻褄が合わなくなります。使ってないと白状したから、じゃあ観測係として生かそうという次の答えが出てきた。正直さは美徳というより、単純に実用的です。
物置で埃をかぶっている道具と、部署を移って働いている道具は別物です。あなたが昔作ったもの、書いたもの、身につけたことにも、役割を変えれば生き返るものが混ざっていないでしょうか。
※この記事は僕自身の記録と考えの共有であり、投資助言ではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。


